寵愛を 辞して諫めた班倢伃(はんしょうよ)
古代中国の君主に寵愛された女性たちには、妲己や楊貴妃のような、いわゆる「傾国の美女」が少なくなかったわけですが、中には真逆の高潔な女性もいました。前漢の時代、第11代皇帝の成帝に寵愛された、側室の班倢伃(はんしょうよ)という女性です。
あるとき、成帝は、出かけるに際し、班倢伃に共に車に乗るようにと誘いました。しかし、彼女はこう言って辞退したのでした。
「昔の名君の絵画を見ますと、聖賢とよばれる君主はみな立派な臣を従え、王朝の末の天子はみなその側に気に入りの女を侍らせております。私は陛下をそのようにしたくはありません」